単一の疾患ではなく、かぜ症候群とされる。急性鼻咽頭炎(普通感冒)から急性喉頭炎、咽頭結膜熱、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎等までの総称です。
ただし、多くの場合単に風邪と言えば普通感冒を指し、インフルエンザ等を風邪と呼ぶことは多くはありません。
主にウイルスの感染による上気道(鼻腔や咽頭等)の炎症性の病気で、咳嗽(がいそう)、咽頭痛、鼻汁、鼻づまりなど局部症状(カタル症状)、および発熱、倦怠感、頭痛など全身症状が出現した状態を指し、このことから上気道感染とも呼びます。
通常鼻汁は風邪の初期はさらさらとした水様で、徐々に粘々とした膿性に変化します。だが全身症状がことに強く、時に重症化します。
俗称として、消化管のウイルス感染によって嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状と上記全身症状を来した状態を、「お腹の風邪」と呼ぶこともあります。
インフルエンザウイルスの感染による病気です。
抗原性の違いからA、B、C型に分けられ、A型はさらに、A/ソ連型、A/香港型に分類されます。ヒトの世界で流行を起こすとされているのは、A/ソ連型、A/香港型、B型のウイルスで、日本では冬~春先が流行期で、同一シーズン間に複数種のウイルスが流行することが多いです。
潜伏期間は1~3日と短期。風邪同様のノドの痛み、鼻汁などに加え、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、腹痛といった全身症状が強いのが特徴です。
近年は合併症としての脳炎、脳症も注視されています。
麻疹ウイルスによる赤い発疹を呈する急性伝染性疾患です。伝染力はきわめて強く、感染すると95%以上が発病します。
冬、春に流行し、9~11日の潜伏期の後、38℃前後の発熱、せき、鼻汁、くしゃみ、結膜充血が2~4日続きます。
その後一度下降した熱が再び高熱となり、耳後部、頸部、体幹、上肢、下肢の順に赤い発疹が広がり、色素沈着を残します。
肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症があり、麻疹生ワクチンなどによる予防が可能です。
ヘルペスウイルス科の水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染によるとされます。
感染経路は、主に空気感染、飛沫(ひまつ)感染ですがむろん水疱液の接触感染もあります。強い感染力を持ち病院などでは同一フロアにいるだけで軽度の接触とみなします。
ウイルスを含有する飛沫もしくは飛沫核による空気感染、上気道、下気道がウイルスの排出、侵入、または接触のため感染するといわれています。痂皮になっていない皮膚症状からの接触感染、あるいは帯状疱疹の人からの接触感染や飛沫感染もありえます。
原因となるのはムンプスウィルス。感染すると2~3週間の潜伏期間を経て発症します。
耳の下にある耳下腺が腫れ、痛みを伴います。唾液などで飛沫感染するが、予防接種をした人や一度かかった人には免疫ができ、再びかかることはありません。
子供に多い感染症で、学校伝染病に指定されており、出席停止となります。成人になってから感染すると、精巣や脳、すい臓に合併症が起こることがあります。感染、あるいは帯状疱疹の人からの接触感染や飛沫感染もありえます。
日本では三日はしかとしても知られています。
風疹にかかった人は免疫ができ、二度とかからないといわれるが、まれに再感染の事例があります。
風疹ウイルスによる飛沫感染。感染した人との密接な接触でも感染します。感染力は発疹の発症前1週間~発疹消滅後1週間。
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が急に現れる病気の総称です。
原因はウイルスと細菌とがあるが、ロタウイルスを代表とするウイルス性のものが全体の90%を占めます。
細菌ではカンピロバクタ―がもっとも多く、ほかにサルモネラ、O-157などの病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどがあります。
治療法としてはじゅうぶんに水分補給を行い、下痢止め薬で便の状態を改善しながら、少量の重湯など消化の良いものから食事を始めるようにします。
急性肝炎とは、肝炎ウイルス感染、薬物、アルコールや、肝炎ウイルス以外の種々のウイルス感染によって広範な急性炎症を起こす肝障害をいいます。
一般には、急性肝炎といえば、肝炎ウイルスによる急性ウイルス肝炎を指します。原因となるウイルスの種類により、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、その他のウイルスによる肝炎に分類されます。
6カ月から5歳くらいまでの乳幼児で38℃以上の発熱に伴って起きるけいれん性疾患です。
肺炎の症状としては、発熱、咳、痰(たん)、胸痛、呼吸困難などがあげられます。
とくに前三者は必発と思われがちですが、そうでないこともしばしばあります。発熱は高齢者では出ないことがよくあり、単なる食思(しょくし)不振(食欲不振)、元気がない、などが唯一の症状であることは珍しくありません。
咳、痰は、やはり高齢者、クラミジア肺炎などで目立たないことがあり、注意が必要です。
激しい咳は、若年者ではマイコプラズマ肺炎を強く疑う根拠になります。
肺それ自体には知覚神経がありませんので肺炎は通常痛みを伴いませんが、神経は胸膜(きょうまく)には豊富に分布しており、肺炎が胸膜直近に発生すると胸痛が主訴となります。
胸痛はまた胸膜炎を合併していることを疑わせる重要なサインです。呼吸困難は、肺炎の広がりが広範であるか、もしくは元々の肺が肺気腫、肺結核後遺症などで機能が低下している場合に起こりやすく、検査で低酸素血症が認められれば入院が絶対的に必要です。
アレルゲンや刺激物質などによって気道が過敏に反応し、咳、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などを起こす病気です。運動後に発症する運動誘発性喘息もあります。
重症の場合、死亡することもあります。アレルギー性のため、花粉症、アトピー性皮膚炎などの合併症状を示す場合も多いです。
家族のアレルギー体質、早朝の喘鳴、呼吸困難などの症状があり、気管支拡張薬やステロイドが著効を示す例は喘息である可能性が高いです。
痙攣(けいれん)であるが、痙攣を伴わない発作もあります。
また、意識障害として突然意識を失う・記憶が飛ぶ・急に活動が止まって昏倒する場合もあります。
ただし、大半の発作は一過性であり、数分~十数分程度で回復するのが一般的である可能性が高いです。